衛生管理者に関わる罰則を解説。どんな行為が対象になるの?

すべての労働者は安全かつ衛生的に働く権利を有しています。しかし、「自分の職場では、安全かつ衛生的に働ける権利が守られてはいないのではないか?」と思っている人もいるでしょう。労働者が安全かつ衛生的に働くことができる権利は、労働安全衛生法に定められています。でも、その法律の内容がよく分からないという人もいるでしょう。また、「罰則の内容が分からない、衛生管理者にどんな罰則が与えられる可能性があるか不安だ」と悩む人もいると思います。

そこで、今回は衛生管理者に関する罰則を中心に労働安全衛生法について解説しましょう。

  1. 衛生管理者に関する罰則について
  2. 衛生管理者に関わる法律や罰則について
  3. 衛生管理者の資格取得方法
  4. 衛生管理者の仕事に関係する罰則に関するよくある質問

この記事を読めば、衛生管理者の仕事の重要性もよく分かります。衛生管理者を目指している人も、ぜひ読んでみてくださいね。

1.衛生管理者に関する罰則について

はじめに、労働安全衛生法の中から、衛生管理者に関する罰則について解説します。

1-1.衛生管理者の職務や役割

衛生管理者とは、従業員が健康かつ衛生的に仕事ができるよう、職場環境を整える職務を担うための国家資格です。職種問わず、従業員が50名以上所属している事業所には、選任が義務づけられています。衛生管理者は、職場巡視・健康診断の準備や結果の管理・ストレスチェックの補助などが主な職務です。衛生管理者が職場巡視などを行った結果、職場環境の改善が必要と提言した場合、経営者はそれに応える義務があります。また、衛生管理者の職務を経営者が自身の権限で制限することはできません。労働災害の発生を防ぐためにも、衛生管理者の仕事はとても大切です。

1-2.衛生管理者に関する罰則がある理由

衛生管理者の行う業務は、従業員の健康に関わる大切なものばかりです。それを怠るということは、従業員の健康を軽視していることになります。従業員の健康を軽視すれば、労働災害の発生率も上がりやすくなるでしょう。その結果、人命が失われる可能性もあります。そのため、衛生管理に関わる罰則が労働安全衛生法第十二章に定められているのです。

2.衛生管理者に関わる法律や罰則について

この項では、衛生管理者に関する罰則に触れる行為を紹介します。

2-1.罰則の内容や対象者

労働衛生に関する罰則に該当することを行った場合、処罰の対象になるのは主に経営者です。経営者は、衛生管理者が従業員の安全や衛生を守るために必要と考え、提言したことを検証し、実行する義務があります。提言されたことを実行しなかったり、立場を利用して提言そのものを受けつけなかったりした場合、50万円以下の罰金か6か月以下の懲役刑が科せられるのです。ただし、衛生管理者が自分の職務を故意に行わなかった場合、罰則を受けることもあります。

2-2.経営者が主に罰則を受ける行為

経営者が罰則を受ける行為には、以下のようなものがあります。

  • 衛生管理者や安全管理者の未選任
  • 衛生委員会・安全委員会の未設置
  • 健康診断の未実施
  • 労働災害を防止する措置を取らなかった
  • 産業医の未選任

たとえば、事業所が大きくなって50名以上になっても衛生管理者を選任しなかった場合などは罰則対象です。

2-3.衛生管理者が罰せられる可能性のある行為

衛生管理者が罰を受ける対象になる可能性がある行為には、以下のようなものがあります。

  • 安全教育や衛生教育を行わなかった
  • 健康診断の内容を無断で流出させる
  • ストレスチェックの内容を従業員から聞きだし、悪用した
  • 職場巡視を怠った

従業員の健康に関する情報はプライバシーです。それを勝手に第三者に伝えてはいけません。また、食名巡視を形骸化させた結果労働災害が発生した場合も罰則を受けます。

2-4.罰則を受けた結果社会的な信用を失うこともある

労働安全衛生法に定められている罰則は、重いとは言えません。しかし、従業員の安全や健康を軽視している企業だと世間に広く知られれば、社会的な信用を失うでしょう。一度失ったリスクは、回復するのに時間もお金もかかります。

3.衛生管理者の資格取得方法

前述したように、衛生管理者は50名以上従業員が所属している事業所では職種問わず衛生管理者の選任が必要であり、未選任は罰則の対象です。そのため、成長し続けている事業所の場合は将来を見越して社員に衛生管理の実務経験を積ませた後、資格取得をすすめてくることも珍しくありません。また、資格を取得すれば昇給や昇進・転職などに役立つでしょう。衛生管理者の試験は国家試験の中でも実施回数が多く、毎月1度以上開催されています。そのため、受験資格さえ満たしていれば、比較的挑戦しやすい試験です。衛生管理者の資格取得方法はこちらの記事にも詳しく記載されていますので、ぜひ併せて読んでみてください。

4.衛生管理者の仕事に関係する罰則に関するよくある質問

この項では、衛生管理者の仕事に関係する罰則に関するよくある質問を紹介します。

Q.衛生管理者が健康診断等を実施したのにもかかわらず従業員が従わない場合も、罰則の対象になるでしょうか?
A.いいえ。従業員が自分の意志で衛生管理者の取り決めに従わない場合は、衛生管理者の責任ではありません。

Q.経営者が衛生管理に関する仕事を実施しない場合、どこに訴えればいいでしょうか?
A.まずは、最寄りの労働基準監督署に相談してください。

Q.従業員が50名未満の事業所の場合、衛生管理がおろそかでも罰則対象にはならないでしょうか?
A.いいえ。従業員が1名以上いれば、労働安全衛生法は適用されます。衛生管理者の選任義務がないからと衛生管理をおろそかにしてはいけません。

Q.衛生管理者が休職をすすめた従業員を経営者が働かせた場合も罰則対象ですか?
A.ケースによります。経営者と従業員が話し合いをして従業員が自分の意志で働くことを決めた場合は、罰則対象ではありません。一方、経営者が働くことを強制した場合は、労働基準法に基づき、より厳しい罰則が適応されます。

Q.衛生管理者がどうしても選任できない場合はどうすればいいですか?
A.速やかに最寄りの労働基準監督署に相談し、猶予を受けてください。

まとめ

いかがでしたか? 今回は衛生管理者に関わる罰則について解説しました。衛生管理に関する職務を怠ると、経営者、もしくは衛生管理者が罰則を受けます。衛生管理はそれだけ大切な仕事だということです。「この事業所は労働災害が発生する可能性が低いから」と勝手に決めつけ、衛生管理の仕事をおろそかにしてはいけません。


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