健康管理手帳の交付対象となる業務や申請できる条件は?

健康管理手帳とは、仕事が原因でガンをはじめとする健康障害を発症する恐れのある方が離職後に交付してもらうことができるものです。取得すれば、在職時に受けていた特殊健康診断と同じ内容の健康診断を、無料で受けることができます。健康障害の原因が体内に入ってから症状が出るまで、時間がかかることも珍しくありません。ですから、健康管理手帳の交付条件を満たしている方は、申請をしておきましょう。

今回は、健康管理手帳を交付してもらうメリットや交付対象について解説します。

  1. 健康管理手帳とは、どのようなもの?
  2. 健康管理手帳の交付などについて
  3. 健康管理は自分で行う
  4. 衛生管理者の役割
  5. 健康管理手帳に対するよくある質問

この記事を読めば、健康管理手帳の交付を受けられる職場についてもよく分かるでしょう。衛生管理者を目指している方も、ぜひ読んでみてくださいね。

1.健康管理手帳とは、どのようなもの?

健康管理手帳とは、前述したように、健康障害を発症する可能性のある物質を取り扱っている職場に勤めていた方が、離職した後に交付される手帳のことです。粉じんや有機溶剤・石綿(アスベスト)など、健康障害を発症する恐れのある物質を取り扱っている職場は、全国各地にあります。これらの物質が原因で、在職中に健康被害が発生すれば、労災扱いになり、補償金なども支給されるでしょう。しかし、有害物質が体内に入って何年も経過してから、健康被害が発生することも珍しくありません。現在、職場で取り扱っていた物質が原因で、離職後に健康障害を発症した方たちが、職場に補償を求めて裁判を起こしている例もあります。

健康手帳は、有害物質を取り扱っている職場に一定期間在職した方が、交付対象となっているものです。手帳を取得していれば、職場で受けていた特殊健康診断と同じ内容の健康診断を無料で受けることができます。これならば、健康障害が発症したとしても早期に治療を始められますし、労災認定もされやすくなるでしょう。

2.健康管理手帳の交付などについて

この項では、健康管理手帳が交付される職種や交付条件などを解説します。どのような職場に交付されるのでしょうか?

2-1.健康管理手帳が交付される職種について

健康管理手帳は、粉じんが発生する職場やベンジンやシンナーなど有機溶剤を扱う職場、重金属をはじめとした有害化学物質やアスベストを扱う職場などに勤務していた方に交付されます。健康管理手帳は、各都道府県の労働局の健康課で交付の手続きを行うことが可能です。交付の対象となる職場について詳しく知りたい方は、お住まいの自治体にある労働局のホームページを確認してください。

2-2.交付の条件について

交付の対象となっている職場に勤めていた方がすべて、健康管理手帳の交付対象ではありません。交付の対象となる業務に一定期間就いた方が交付対象です。たとえば、対象業務がある職場に勤めていた方でも、有害物質を扱う業務などを行っていなければ、健康管理手帳は交付されません。また、交付される基準を満たしていれば、勤務形態にかかわらず交付を受けることができます。パートやアルバイトでも交付を受けることが可能です。

2-3.交付される時期について

健康管理手帳は、交付される基準を満たした方が、離職する際に申請を行って交付されます。ですから、健康管理手帳の交付対象となる業務に就いていた方は、定年退職や転職などを行う際、必ず申請を行いましょう。会社で申請を行ってくれることもありますが、必要書類を渡され、自分で労働局へ申請に行かなければならないところもあります。

なお、引っ越しで住所が変更になった・結婚をして苗字が変わった・手帳を紛失したという場合は、お住まいの地域にある労働局で再交付の手続きをしてください。

2-4.退職後でも交付は可能

健康管理手帳の存在を知らない方も、珍しくありません。交付の対象となっている業務に就いていたことを、退職後に知ったという方もいるでしょう。そのような場合は、授時暦申告書(このような職務を行っていました、という書類)と健康管理手帳交付申請書を書いて、住んでいる地域の労働局に提出して交付申請をしてください。職場の証明書などは必要ありません。また、勤めていた職場が廃業になっていた場合も、申請を行えます。必要な書類は、全国各地の労働局で配布していますし、ホームページからもダウンロードも可能です。分からないことがあったら、遠慮なく労働局の健康課に問い合わせましょう。窓口で、書類の書き方なども教えてくれます。

3.健康管理は自分で行う

健康管理手帳が交付されると、年に1,2回の健康診断を無料で受けることができます。健康診断を行える病院などは、労働局が教えてくれるので、そこで健康診断を受けましょう。健康診断では、各種検査の他に健康指導が行われます。なお、この健康診断は義務ではありません。案内通知は来ますが、受けなくても罰則などはないのです。ですから、健康管理は基本的に自分で行いましょう。

4.衛生管理者の役割

この項では、健康管理手帳に関する衛生管理者の役割などについて解説します。ぜひ参考にしてください。

4-1.衛生管理者とは?

衛生管理者とは、従業員が衛生的かつ健康に仕事ができるように職場環境を整え、衛生教育を行うことのできる資格です。職種に関係なく、従業員が50名以上所属している事業所に選任が義務づけられています。

4-2.衛生管理者と健康管理手帳

健康管理手帳は、あまり知られていない存在です。ですから、交付対象の業務に従事している従業員がいる職場では、衛生教育の一環として、健康管理手帳のことを説明しましょう。そうすれば、交付し忘れることもありません。また、職場によっては衛生管理者が職場を代表して、申請の手続きを行うこともあるでしょう。
歴史がある事業所の場合は、退職した方が交付申請の問い合わせをしにくることがあるかもしれません。その時は、対応をしてあげましょう。

4-3.衛生管理者になる方法

衛生管理者になるには、薬剤師や医師・薬剤師といった資格を取得した後で労働基準監督署へ申請を行うか、安全衛生技術試験協会が主催する試験を受け、合格する方法があります。試験を受けるには一定の実務経験が必要ですから、試験を受けたい方は、まず協会のホームページを確認してください。
衛生管理者には1種と2種があり、健康管理手帳の交付対象となる業務を行う職場の衛生管理ができるのは、1種の有資格者だけです。
試験の申し込み方法や勉強方法のコツなどは、こちらの記事にも詳しく記載されていますので、参考にしてください。

5.健康管理手帳に対するよくある質問

Q.健康管理手帳の交付を申請するメリットはなんでしょうか?
A.有害物質が体に影響を及ぼしていないかどうか検査を行ってもらえますし、健康障害が出た場合は、労働災害の申請もスムーズに行えます。

Q.退職してから時間が経ってしまいましたが、申請を行えるでしょうか?
A.健康管理手帳は、交付対象となる業務が増え続けています。そのため、今まで交付対象外だった業務が交付対象になることもあるでしょう。ですから、退職してから時間がたっても申請を受け付けてもらえるのです。

Q.派遣社員として、複数の職場に派遣されており、勤務期間を合計すると交付される条件を満たします。健康管理手帳は交付してもらえるのでしょうか?
A.雇い主は派遣会社になりますので、問題はありません。分からないことがあれば労働局に問い合わせてください。

Q.交付される条件を満たしている業務を行っている職場でも、交付されない方とはどのような例でしょうか?
A.たとえば、有機溶剤を取り扱っている会社では、有機溶剤を工場や作業現場で使用します。しかし、事務仕事をしている場所では、有機溶剤を使った業務は行いません。ですから、事務仕事をしている方に健康管理手帳は交付されないのです。

Q.健康管理手帳の交付条件を満たす業務は行っていませんでしたが、有害物質を扱う現場に用事があって頻繁に訪れていた場合は、交付対象になりますか?
A.いいえ。交付対象には含まれません。

6.おわりに

いかがでしたか? 今回は、健康管理手帳の役割や交付の対象となる業務・申請方法などを解説しました。現在は技術の進歩により、有害物質が体内に入らないような安全器具もたくさん開発されています。しかし、長年有害物質を扱っていれば、どうしても健康に影響は出やすくなるでしょう。健康障害を早めに発見するためにも、ぜひ申請を行い、健康診断を定期的に受けてください。


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