衛生管理者の巡視の目的や内容は?チェックリストの活用方法も伝授!

衛生管理者には、労働者が安心かつ健康に働くための環境を守る役割があります。定期的な巡視も、衛生管理者の職務のひとつと考えてください。今回は、衛生管理者の基礎知識とともに衛生管理者の巡視の目的や内容について詳しく解説します。

  1. 衛生管理者の基本を学ぼう
  2. 衛生管理者の職務や仕事内容を解説
  3. 衛生管理者の巡視義務を理解しよう
  4. 衛生管理者の巡視の方法を学ぼう
  5. 衛生管理者資格の取得について
  6. 衛生管理者に関するよくある質問

衛生管理者の仕事について理解を深めたい人は、ぜひ記事を読んでください。巡視の目的や内容だけでなく、資格取得のためのコツを含めた幅広い知識を得ることができますよ。

1.衛生管理者の基本を学ぼう

まずは、衛生管理者の基本を学びましょう。衛生管理者の歴史や定義についてしっかり確認してください。

1-1.衛生管理者の歴史

職場の衛生管理を行うには、医師だけでは実質不可能という考えによって衛生管理者が生まれました。1947年に制定された労働基準法に記載して以来、時代の流れにより数回の見直しがあって現在に至っています。労働環境の改善や労働者の健康管理を行って当然という考えが広まったのは、衛生管理者の活躍があってのことなのです。

1-2.衛生管理者の定義とは

衛生管理者とは、事業所において労働者の衛生管理業務を行う立場にあります。衛生管理業務とは、労働者の健康管理や労働環境の整備のことです。衛生管理者は、労働安全衛生法によって定義しています。なお、衛生管理者は国家資格のひとつであり、衛生管理業務を行うためには資格を持っていることが条件になると覚えておいてください。

1-3.衛生管理者の目的や必要性

衛生管理者の目的や必要性は、労働環境を適正に維持することで生産性を上げるだけでなく労働者が健康に働く環境を整えることにあります。企業が健全に活動して利益を上げるためには、労働環境を整備したり労働者の健康管理を行ったりすることが必要です。衛生管理者が労働環境の整備や労働者の健康管理をまとめることは、企業にとってもメリットが大きいことだと認識してください。

1-4.衛生管理者の選任義務とは

衛生管理者を選任する義務は、労働安全衛生法に規定があります。具体的には、常時50人以上の労働者がいる職場に関して選任義務を示していることを覚えておきましょう。なお、事業規模によって選任するべき人数が決まっています。

  • 50人以上200人以下の職場:1人以上
  • 201人以上500人以下の職場:2人以上
  • 501人以上1,000人以下の職場:3人以上
  • 1,001人以上2,000人以下の職場: 4人以上
  • 2,001人以上3,000人以下 の職場:5人以上
  • 3,001人以上の職場:6人以上

なお、常時1,001人以上の労働者がいる場合、衛生管理者として専任業務にあたる者を1人以上選任する必要があります。

2.衛生管理者の職務や仕事内容を解説

衛生管理者の職務や仕事内容について解説をします。具体的にどのような職務があるのか、しっかり確認してください。

2-1.衛生管理者の職場について

労働安全衛生法では、常時50人以上の労働者がいる職場に選任義務があります。しかし、衛生管理者の職場は業種を問いません。つまり、労働者を雇用する職場であれば衛生管理者が活躍する場所があると考えましょう。衛生管理者は、50人以上の労働者を抱える事業所には欠かすことができない存在なのです。

2-2.衛生管理者の職務・仕事内容

衛生管理者の職務や仕事内容に関しては、主に以下となります。

  • 労働災害の防止に努めること
  • 労働災害が起きた場合の記録と原因究明・対策を行うこと
  • 労働者の安全衛生に関する教育の実施
  • 労働災害に関する責任体制を明らかにすること
  • 労働安全に関する自主的活動の促進
  • 健康診断の実施と健康保持に関する活動
  • 職場環境を快適に維持すること

衛生管理者は、常に労働者の立場になって労働環境を考えることが基本となります。労働災害の防止や労働環境の改善だけでなく、労働者の健康に配慮することも重要な職務です。

3.衛生管理者の巡視義務を理解しよう

衛生管理者には、巡視義務があります。ここでは、衛生管理者の巡視義務について具体的に解説をしましょう。

3-1.衛生管理者の巡視とは

衛生管理者の巡視とは、職場において労働環境が適正かどうか、労働者の安全や健康が守られているかどうかをチェックすることです。いくら理想を掲げても、実践できていなければ意味がありません。衛生管理者は、職場の労働環境・労働者の安全や健康に関して常にチェックをすることで、職務を果たすことができるのです。反対に考えると、巡視無くして衛生管理者の職務は完結しないと言って良いでしょう。

3-2.衛生管理者の巡視の目的や必要性

衛生管理者が巡視をすることは、労働者の安全衛生を適切に管理・維持するために必要です。職場の安全衛生を維持するためには、定期的なチェックを行って常に監視することが重要であると覚えておきましょう。巡視を行うことによって、適切な労働環境が保つだけでなく新たな問題点を発見する機会を作ることにもなります。衛生管理者にとっては、巡視も大切な業務のひとつです。

3-3.衛生管理者の巡視が必要な職場とは

衛生管理者の巡視は、衛生管理者を選任したすべての職場に必要です。まず、職場の巡視は労働安全衛生法によって義務となっています。事務作業が中心のオフィスであっても、労働災害や労働者の健康被害が起きる可能性を否定できません。また、危険物を扱う職場では、ほかの業種よりも細かなチェックをすることになります。それぞれの業種や職場によってチェックすべき項目が異なっても、衛生管理者の巡視は必要なのです。

4.衛生管理者の巡視の方法を学ぼう

衛生管理者の巡視は、どのような方法で行うのでしょうか。ここでは、巡視チェックリストやコツなど具体的に学びましょう。

4-1.巡視する内容はどのようなものか

衛生管理者としての巡視が目的ですから、職務に沿った内容になります。たとえば、職場の空調や照明は適正に保たれていることもひとつです。また、分煙を守っているかなど、労働者の健康を守るための内容もあるでしょう。衛生管理者の巡視は、労働環境の保全をためにも重要な意味を持っているのです。

4-2.衛生管理者の巡視チェックリスト

衛生管理者として巡視するときには、以下のようなチェックリストを活用します。チェックリストは、巡視義務を果たすために必要なものだと考えましょう。以下に、事務所における巡視チェックリストの一例を示すので参考にしてください。

  • 職場の照明の照度・空調は適正範囲内か
  • 異常な臭(にお)いが発生していないか
  • 騒音による支障は無いか
  • 職場の清掃は行き届いているか
  • 職場および休憩所において分煙を守っているか

なお、巡視チェックリストを作成するときに決まった形式はありません。業種や職場の現状に応じて、適切なものを作成しましょう。衛生管理者の巡視チェックリストに関しては、下記も参考にしてください。

参考:茨城産業保健総合支援センター・衛生管理者のチェックリスト例

4-3.衛生管理者の巡視の頻度(ひんど)について

衛生管理者は、定期的に巡視をする必要があります。巡視をするべき頻度(ひんど)に関しては、少なくとも週に1回行ってください。たとえば、前回の巡視で問題が無かった部分でも新たな問題が発生している可能性があります。できるだけこまめに巡視を実施することによって、労働災害を防止することができるのです。

4-4.巡視のコツやポイントを理解しよう

実際に職場を巡視するときのコツやポイントについては、下記をご覧ください。

  • 巡視チェックリストを事前に作成しておくこと
  • 巡視する順番を決めておくこと
  • 巡視する日時を決めておくこと
  • 巡視の結果に沿った記録を付けること
  • 問題を発見した場合の対策方法を事前に決めておくこと

巡視用のチェックリストを活用することと、実施する順番・日時を決めておくことで効率よく進めることができます。

4-5.巡視後の改善方法を考える

衛生管理者として職場を巡視した結果、改善するべき部分を発見することはよくあります。巡視後の改善方法を考えることも、衛生管理者にとって大切な仕事です。衛生管理者は、職場の設備や作業方法・衛生状態に問題がある場合は、労働者の安全や健康に被害が出ないように防止する必要があります。巡視後には、早急に問題部分を改善してください。なお、改善方法については巡視チェックリストを作成するときに併せて考えておくことをおすすめします。

5.衛生管理者資格の取得について

衛生管理者になるには、資格取得が必要です。衛生管理者の資格を取得するために必要な知識について、詳しく学びましょう。

5-1.衛生管理者の資格概要

衛生管理者資格は、安全衛生技術センターが主催する資格試験に合格することが必要です。また、衛生管理者資格には第一種衛生管理者・第二種衛生管理者の区分があり、第一種衛生管理者が上位資格となります。衛生管理者試験に合格した人は、東京労働局に免許申請をする必要があることも覚えておきましょう。

5-2.衛生管理者資格の取得メリット

衛生管理者の資格を取得することのメリットは、主に以下となります。

  • 衛生管理業務について正しい知識を身に付けることができる
  • 職場の労働環境改善のために何をするべきか理解できる
  • 衛生管理者資格取得によって給料が上がる
  • 職場に欠かすことができない人材となる

中でも、給料が上がったり職場にとって欠かすことのできない人材として認められたり点が大きなメリットと言えるでしょう。資格を取得していない人と比較した場合、職場に必要な人材としての地位を確立することができますよ。

5-3.衛生管理者の受験資格

衛生管理者の受験資格は、細かく指定があります。たとえば、大学や短大・高等学校を卒業後、1年以上労働衛生の実務に従事した経験がある者などですね。いずれにしても、受験資格を得るには実務経験が必要になることを覚えておきましょう。実務経験が受験資格に満たない場合は、まず、現場で労働衛生に関する実務経験を積むことから始めることが必要です。なお、衛生管理者の受験資格の詳細については、以下を参考にしてください。

衛生管理者の受験資格詳細:http://www.exam.or.jp/exmn/H_shikaku502.htm

5-4.衛生管理者の試験内容

では、衛生管理者の試験内容については、下記を参考にしてください。なお、特例第一種衛生管理者とは、第二種衛生管理者の資格取得者が第一種を受験するときに適用となります。

  • 第一種衛生管理者:労働衛生・関係法令・労働生理
  • 特例第一種衛生管理者:労働衛生(有害業務に関するものだけ)・関係法令(有害業務に関するものだけ)
  • 第二種衛生管理者:労働衛生(有害業務に関するもの以外)・関係法令(有害業務に関するもの以外)・労働生理

第一種衛生管理者の労働衛生・関係法令に関しては、有害業務に関するものと有害業務に関するもの以外の両方を含みます。実務経験が少ない人は、第二種衛生管理者を受験・合格した後で、特例第一種衛生管理者を受験することも考えてみましょう。

5-5.衛生管理者試験の難易度について

衛生管理者試験の難易度は、第一種衛生管理者が5割程度で第二種衛生管理者が6割程度となります。資格試験の難易度として考えた場合は、難易度は高くありません。ただし、衛生管理者試験は実務経験者を対象にしたものであることや、4割程度の人が不合格であることを考えると簡単には取得できない資格であるとも言えるでしょう。資格取得を目指すためには、しっかりとした受験対策が必要になります。

5-6.衛生管理者試験に関するそのほかのこと

衛生管理者試験に関するそのほかのことについて、お話します。まず、資格試験に合格するためには、効率よく学習することが大切です。具体的には、資格取得に特化した教材を利用すると良いでしょう。衛生管理者になりたい人向けの参考書や教材を利用することは、確実に合格率を上げることができます。一例として、衛生管理者試験の教材をご紹介しますので、参考にしてください。

SAT衛生管理者資格取得講座:https://www.eiseikanrisya.net

資格取得に特化した教材を利用するほかにも、試験そのものの内容を理解しておくことも大切です。試験の内容や傾向をきちんと理解して、試験様式に慣れておきましょう。たとえば、過去問題を制限時間内に回答してみることはとても効果的です。

6.衛生管理者に関するよくある質問

ここでは、衛生管理者に関するよくある質問に回答します。それぞれの内容を確認して、今まで学んだ知識をさらに深めてください。

6-1.衛生管理者の選任義務である常時50人以上の労働者の定義にはパートも入りますか?

労働条件がパートタイマーとしてのものであっても、常時50人以上の労働者の定義に含みます。正社員だけが条件ではないので注意してください。なお、同様にアルバイトであっても適用条件に含むので覚えておきましょう。また、休日を取得している者や外回りの営業に出ている者なども含みます。

6-2.常時30人ほどの職場では衛生管理者を選任しなくて問題ありませんか?

労働安全衛生法では、常時50人以上の労働者がいる職場に関して選任義務があるとしています。そのため、常時30人ほどの職場での選任義務はありません。しかし、労働環境を整えたり労働者の健康管理に気を配ったりすることは、企業が率先して考えるべきです。法律で義務になっていなくても、衛生管理者を選任することを検討してください。

6-3.衛生管理者の受験資格の実務経験にはアルバイトも含みますか?

実務経験には、正社員・パートタイマー・アルバイトなど雇用形態に制限はありません。つまり、アルバイトでも実務経験があれば問題無く受験することができます。衛生管理者の資格取得を目指す人で実務経験が無い場合は、アルバイトとして働くことも検討してください。

6-4.衛生管理者試験が免除となる資格を具体的に教えてもらえますか?

現在所有している資格によっては、衛生管理者資格が自動的に認定されているものもあります。具体的には、以下をご覧ください。

  • 医師
  • 歯科医師
  • 薬剤師
  • 保健師
  • 労働衛生コンサルタント

上記の資格を持っている人は、改めて衛生管理者試験を受ける必要はありません。上記の資格保持者以外の人は、試験を受けて合格することによって衛生管理者資格を得ることができます。

6-5.衛生管理者が巡視義務に違反した場合は罰則があるのですか?

衛生管理者が何らかの理由で巡視義務に反した場合、法律では明らかな罰則はありません。しかし、巡視義務に違反することは職務の放棄と考えることもできます。それに、巡視義務を違反したことにより労働災害が発生した場合は、衛生管理者の責任を問うことになるでしょう。罰則は無くても、巡視義務に反することは避けてください。衛生管理者が巡視義務を守ることは、とても重要なことなのです。

まとめ

衛生管理者の基本や衛生管理者の巡視義務など詳しく解説をしましたが、いかがでしょうか。衛生管理者は、職場の労働安全と労働者の健康を守るために必要な存在です。また、衛生管理者の巡視義務に沿って職場のチェックをすることは、労働災害の防止に大きな意味を持ちます。特に衛生管理者の取得を目指す人にとっては、職務内容や巡視義務をしっかり学ぶことが資格合格を近づけることになるでしょう。どのような職場にも必要な人材になるためにも、衛生管理者の取得について前向きに検討してみてください。


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