衛生管理者とはどんな資格なの?衛生管理者になるための基礎知識!

衛生管理者は会社から取得の指示をされることが多い資格です。今は指示されていない方も、もしかしたらそのうち指示されるかもしれません。

しかし、衛生管理者という資格について、最初から詳しくしっている方はまれです。会社から指示はされたものの、「衛生管理者とはどんな資格なのだろうか?」と疑問に思う方がほとんどでしょう。

そこで、今回は衛生管理者にまつわる基本的な知識をご紹介します。

  1. 衛生管理者とは?
  2. 衛生管理者の種類について
  3. 衛生管理者の免許、資格について
  4. 衛生管理者の受験について
  5. 衛生工学衛生管理者について
  6. 衛生管理者免許取得のための勉強法
  7. 衛生管理資格にまつわるQ&A

この記事を読むことで、衛生管理者にまつわる基本的な知識を得ることができます。資格の習得に失敗しないためにも、ぜひ最後までお読みくださいね。

1.衛生管理者とは?

1-1.衛生管理者の定義について

衛生管理者とは、労働安全衛生法によって定められている『労働条件』『労働環境の衛生的改善』『疾病の予防処置』などを管理する資格者のことです。平たくいえば、事業場の衛生全般に関する管理責任者といったところでしょう。

常時50人以上の人たちが働く事業場では、労働者数に応じて衛生管理者を選任する必要があります。選任の基準は『特定の資格を持つこと』であり、必ずしも衛生管理者免許である必要はありません。衛生管理者に選任されるために必要な資格は以下のとおりです。

  • 衛生工学衛生管理者
  • 第1種衛生管理者
  • 第2種衛生管理者
  • 医師または歯科医師
  • 労働衛生コンサルタント
  • 上記以外で厚生労働大臣の定める者(保健体育の免許保持者、大学・高等専門学校において保健体育を担当する教授・准教授・講師など)

1-2.衛生管理者の目的と必要性

事業場における労働者の衛生を管理することが1番の目的となります。そして、労働者の衛生を管理することは人権を守るためにも必要なことなのです。

しかし、管理者が存在しなければ、いったい誰がこの衛生を守るのでしょうか。普通に考えれば社長や役員となりますよね。しかし、すべての人が衛生に対する専門知識があるわけではありません。専門知識がなければ、衛生管理を行うのは困難でしょう。ですから、衛生管理のスペシャリストが必要となるのです。

日本では足尾銅山鉱毒事件や水俣病(みなまたびょう)、イタイイタイ病など、公害事件のトラウマがあります。かつての惨事を引き起こさないためにも、衛生管理者は非常に重要なのです。

1-3.衛生管理者の歴史

1947年までは衛生管理を医師がすべての業務を行っていました。しかし、医師だけですべての業務を行うのは難しく、これを改善するために1947年に労働基準法の労働衛生規則(旧・労働衛生規則)にて規定されることになります。その後は時代背景とともに何度かの改訂が行われながら現在に至りました。

1-4.衛生管理者の職務

衛生管理者の職務としては、主に以下のようなものが挙げられます。

  • 労働者の安全と健康を確保する
  • 労働災害を防止する
  • 危害防止基準を確立する
  • 責任体制を明確化する
  • 自主的活動を促進する
  • 快適な職場環境の形成

2.衛生管理者の種類について

2-1.衛生管理者

すでにご紹介した、基本の衛生管理者です。

実は1種類の資格ではなく、以下の3種類に分けられています。

  • 衛生工学衛生管理者免許
  • 第1種衛生管理者免許
  • 第2種衛生管理者免許

2-2.総括安全衛生管理者

統括安全衛生管理者は、安全管理や衛生管理者、あるいは、救護に関する技術的管理者を指揮する権限を持つ者のことです。

選任基準は、事業場における統括管理権限を持つ者となります。普通の衛生管理者とは違って免許や経験を有する必要はありません。あくまで、管理者を統括する立場、ということです。

統括安全衛生管理者が必要となるのは以下のような事業場となります。

  • 常時働く労働者数が100人以上の林業、鉱業、建設業、運送業、清掃業。
  • 常時働く労働者数が300人以上の製造業、通信業、電気・ガス・水道業、熱供給業、燃料小売業、各種商品卸売業・小売業、家具・建具・日常生活品等の卸売業・小売業、自動車整備業、機械修理業旅館業、ゴルフ場業。
  • そのほかの業種は常時働く労働者数が1000以上。

2-3.元方安全衛生管理者

元方安全衛生管理者とは、建設業の現場において設置される安全衛生管理者です。統括安全責任者のもとで技術的な管理を行うので、実質的な責任者ともいえるでしょう。

元方安全衛生管理者は労働災害を防止することを目的としているため、労働災害を防止するための命令ができる権限を有します。

衛生管理者(第1種・第2種)の資格を有さずとも選任は可能です。ただし、建設業労働災害防止協会が開催している『統括安全衛生責任者講習』か『現場管理者統括管理講習』を受講していることが望ましいとされます。

元方安全衛生管理者の選任基準は以下のとおりです。

  • 理系の大学・高等専門学校における正規の課程を修めて卒業した者。かつ、卒業後に3年以上の建設工事における安全衛生の実務経験を有する者。
  • 理系(理系学科も含む)の高等学校・中等教育学校における正規の学科を修めて卒業した者。かつ、卒業後5年以上の建設工事における安全衛生の実務経験を有する者。
  • そのほか、厚生労働大臣が定める者。

労働厚生大臣が定める者、については『労働安全衛生規則第18条の4第3号の規定に基づき厚生労働大臣が定める者を定める告示』を参照ください。

https://www.jaish.gr.jp/anzen/hor/hombun/hor1-2/hor1-2-6-1-0.htm

2-4.店社安全衛生管理者

一定数の労働者を抱えているものの、統括安全衛生管理者を選任しない元方事業者は、店社安全衛生管理者を選任しなければいけません。店社安全衛生管理者とは、日本の建設業の現場における特定の工種において、店社から指導・支援する者のことです。

選任基準は以下のようになっています。

  • 理系の大学・高等専門学校における正規の課程を修めて卒業した者。かつ、卒業後に3年以上の建設工事における安全衛生の実務経験を有する者。
  • 理系(理系学科も含む)の高等学校・中等教育学校における正規の学科を修めて卒業した者。かつ、卒業後5年以上の建設工事における安全衛生の実務経験を有する者。
  • 建設工事における安全衛生の実務経験を8年以上有する者。

ちなみに、衛生管理者(第1種・第2種)の免許を有さなくても選任は可能です。

2-5.船舶衛生管理者

船舶衛生管理者は、船員法に規定される資格の1つです。船員の健康管理課保健指導や作業環境衛生、居住環境衛生、食料・飲料水の衛生などに関する指導や管理を行います。

普通の衛生管理者との違いは、『薬剤投与』『注射』『縫合』などの医療行為が部分的に許されている点です。そのため、医務室などが主な勤務場所となっています。

選任については、『衛生管理者適任証書の交付を受けている者』の中から行わなければいけません。ただし、航行中の事故や疾病などの理由で適任者が居なくなってしまった場合は、資格を有さない者でも選任することもできます。しかし、その場合は国土交通大臣の許可を得なければいけません。

衛生管理者適任証書を得るには以下の条件を満たす必要があります。

  • 国土交通大臣が執行する『船舶に乗り組む衛生管理者試験』に合格する。
  • 試験の合格と同等以上の知識・技能を有すると国土交通大臣に認定された者。

また、国土交通大臣によって試験の合格と同等以上の知識・技能を有すると認定されるには以下のような条件を満たす必要があります。

  • 医療・薬事系資格を有する者(国内外の医師免許、歯科医師、薬剤師、獣医師、助産師、保健師、看護師、准看護師)
  • 医科・薬科系学位を有する者(医学士、歯学士、薬学士、衛生看護学士)
  • 衛生管理者の資格を有すること。かつ、船舶で2年以上の衛生管理業務に従事した経験を有する者。
  • 船舶衛生管理者講習を修了した者。
  • 衛生特技を有する海上自衛官。

3.衛生管理者の免許、資格について

3-1.衛生管理者の取得条件

衛生管理者を取得するには、第1種衛生管理者試験(特例第1種衛生管理者試験)か第2種衛生管理者試験で合格する必要があります。

3-2.衛生管理者の種類

一口に衛生管理者といっても、実は3種類に分けられます。すなわち、『衛生工学衛生管理者』『第1種衛生管理者』『第2種衛生管理者』という3つの資格です。

衛生工学衛生管理者は主に『有毒ガス・蒸気・粉じん』などが発生する作業場で活躍します。作業環境の改善を目的として、衛生工学の技術や知識をもとに指導・管理を行う専門家です。

第1種衛生管理者は職種にかかわらず、常時活動する労働者数が50人以上の事業場において活躍します。

続いて、第2種衛生管理者です。第1種と比べると活躍の場が制限されています。以下の事業場では選任することができません。

  • 農林畜水産業
  • 鉱業
  • 建設業
  • 電気・ガス・水道業
  • 熱供給業
  • 製造業
  • 自動車整備業
  • 運送業
  • 機械修理業
  • 医療業
  • 清掃業(工業的職種の場合)

3-3.資格習得のメリット

メリットは就職に有利になることが挙げられます。衛生管理者を持っている人と持っていない人であれば、有資格者を優先する確率が高いからです。

また、衛生管理者は会社から取得の指示を受けることが多い資格でもあります。つまり、出世や昇進の条件を満たすという意味でもメリットがあるでしょう。

たとえば、会社が新しい工場を建設するとしましょう。工場ともなれば労働者数も多くなりますから、当然衛生管理者の選任が必要となります。このときに衛生管理者の資格を有していれば選任されることになるでしょう。そして、新しい工場で衛生管理者となるわけですから、そこに昇進が絡んでもおかしくはありません。

4.衛生管理者の受験について

4-1.受験資格

第1種・第2種衛生管理者における代表的な受験資格は以下のとおりです。

  • 4年制大学・短期大学・高等専門学校のどれかを卒業したもの。かつ、労働衛生の実務に1年以上従事した経験がある者。
  • 高等学校・中等教育学校を卒業したもの。かつ、労働衛生の実務に3年以上従事した経験がある者。
  • 労働衛生の実務に10年以上従事した経験のある者。

このほかにも受験資格は多岐にわたります。詳しい受験資格については以下の『安全衛生技術試験協会』の衛生管理者に関するページを参照ください。

http://www.exam.or.jp/exmn/H_shikaku502.htm

4-2.試験概要

第1種・第2種衛生管理者の試験申し込みは、安全衛生技術試験協会から行うことができます。免許試験受験申請書を協会本部、または最寄りの免許試験受験申請書取扱機関から入手し、所定の手続きをしましょう。最寄りの免許試験受験申請書取扱機関に関する詳しい説明については以下を参照してください。

http://www.exam.or.jp/exmn/H_seikyu.htm

また、試験地や日程に関しては地域によって場所は異なります。各地域の安全衛生技術センターにて確認してください。

  • 安全衛生技術試験本部 03-5275-1088
  • 北海道安全衛生技術センター 0123-34-1171
  • 東北安全衛生技術センター 0223-23-3181
  • 関東安全衛生技術センター 0436-75-1141
  • 中部安全衛生技術センター 0562-33-1161
  • 近畿安全衛生技術センター 079-438-8481
  • 中国四国安全衛生技術センター 084-954-4661
  • 九州安全衛生技術センター 0942-43-3381

ちなみに、受験費用に関しては、一律で『6,800円』と決められています。

4-3.試験内容

試験内容は以下のとおりです。

4-3-1.第1種衛生管理者(3時間/34問)

  1. 労働衛生(17問)
  2. 関係法令(17問)
  3.  労働生理(10問)

4-3-2.特例第1種衛生管理者(2時間/20問)

特例第1種衛生管理者の試験とは、第2種衛生管理者免許を受けた者に対する試験のことです。

  1. 労働衛生(有害業務にかかわるものに限る。10問)
  2. 関係法令(有害業務にかかわるものに限る。10問)

4-3-3.第2種衛生管理者(3時間/30問)

  1. 労働衛生(有害業務にかかわるものを除く。10問)
  2. 関係法令(有害業務にかかわるものを除く。10問)
  3. 労働生理(10問)

4-4.難易度と合格率

第1種・第2種ともに、以下の2つの条件を満たすことで合格します。

  • 得点率が科目ごとに40%以上
  • 得点率の合計が満点の60%以上

見て分かるとおり、それほど厳しい難易度ではありません。合格率は比較的高く、第1種が『50~60%』程度で、第2種が『60~70%』程度です。

5.衛生工学衛生管理者について

5-1.衛生工学衛生管理者の受講資格

資格要件については以下のようになっています。

  • 大学・高等専門学校において工学・理学の課程を修めて卒業した者。
  • 第1種衛生管理者の資格を有する者。ただし、保健師・薬剤師の資格による免許取得者は対象外。
  • 大学において保健衛生の学科を専攻し、かつ労働衛生に関する科目を修めて卒業した者。
  • 労働衛生コンサルタントの資格を有する者。
  • 作業環境測定士の資格を有する者。

5-2.衛生工学衛生管理者の講習概要

衛生工学衛生管理者については、資格要件を満たす者が厚生労働大臣の定める講習を受けること。そのうえで修了試験に合格することで取得が可能です。講習は以下のような科目を5日間(科目免除者の場合は、免除数に応じて2日~4日)に分けて行います。

  • 労働基準法
  • 労働安全衛生法
  • 労働衛生工学に関する知識
  • 職業性疾病の管理に関する知識
  • 労働生理知識
  • 修了試験(筆記試験)

受講の申し込みは『中央労働災害防止協会』で行います。受講日や受講場所はお住まいの地域で異なりますので、各地域の中央労働災害防止協会に相談しましょう。

また、受講費用に関しては『116,640円』がかかります。ただし、これは5日間受けた場合です。免除された場合はその日数に応じて受講費用が下がります。

5-3.問い合わせ先

  • 中央労働災害防止協会 東京安全衛生教育センター 0424-91-6920
  • 中央労働災害防止協会 大阪安全衛生教育センター 0721-65-1821

6.衛生管理者免許取得のための勉強法

6-1.資格講座を取り入れよう

衛生管理者のテキストや参考書は非常に多く発売されています。しかし、無意味に難しい言葉や言い回しを使っていることも多く、分かりやすくないものばかりです。

手早く知識を身につけたいのであれば、やはり資格講座を受けるのが1番でしょう。たとえば、SATで衛生管理者の申し込みをすれば、講座DVDで講師が分かりやすく言葉で説明してくれます。耳で覚えることができるので、自転車や車の移動中にも勉強が可能です。

https://www.eiseikanrisya.net/

もちろん、使われているテキストもユーザーのことを1番に考え、分かりやすく丁寧に作られています。ですから、一般的なテキストや参考書よりも使い勝手が良いでしょう。

衛生管理者に限らず、資格の取得を目指す際にはぜひ資格講座の検討をしてみましょう。

6-2.過去問を利用しよう

資格講座等である程度の知識がついてきたら、過去問をやって腕試しをすることも大切です。過去に行われた試験は安全衛生技術試験協会によって公表されていますので試してみてください。

過去問2回分を以下のURLから見ることが可能です。

http://www.exam.or.jp/exmn/LCkohyo.htm

ちなみに、SATで資格講座を受ければ、過去問10回分とその解答・解説もついてきます。

7.衛生管理者資格にまつわるQ&A

Q.衛生管理者は転職の武器になりますか?
A.衛生管理者は昇進などで有利になる可能性はあります。しかし、取得したからといって必ず給料が上がったり、転職の武器になったりするわけではありません。あくまで自身の価値にプラスアルファするものだという認識を持ちましょう。

Q.第2種と第1種のどちらを受けるべきですか?
A.すでにご紹介したとおり、衛生管理者はそれほど難易度の高い資格ではありません。ですから、受験資格を有しているのであれば、第1種をいきなり受けるのも1つの手です。

とはいえ、いきなり第1種となると勉強が大変なので、最初は第2種から始めるのが無難でしょう。また、第2種衛生管理者の資格を有している方には『特例第1種衛生管理者試験』が用意されます。第2種衛生管理者免許の写しを添付して受験申請を行うことで受験が可能です。

特例第1種衛生管理者試験は問題数が少ないので、勉強する範囲が狭まり、第1種に受かる確率が高まります。このような意味でも、最初は第2種を受けるのがおすすめです。

Q.すぐに受験資格を有する見込みであれば受験の申し込みをしても構いませんか?
受験資格は、試験の申し込み時点(受験願書を提出する時点)で満たしている必要があります。そのため、仮に来週受験資格を有する見込みであっても、現時点では申し込みはできません。

Q.受験に必要な書類にはどのようなものがありますか?
受験の申請には免許試験受験申請書と添付書類が必要となります。添付書類は以下のようなものが一般的です。

  • 本人確認証明書(自動車運転免許、住民票、健康保険被保険者証の写し証等いずれか1つ)
  • 事業者証明書
  • 学校の卒業証明書または卒業証書の写し

詳しい必要書類については安全衛生技術試験協会のホームページを参照してください。

http://www.exam.or.jp/exmn/H_shikaku502.htm

Q.合格発表はいつどのような形で発表されますか?
合格した場合、『免許試験合格通知書』もしくは『免許試験結果通知書』として安全衛生技術センターから送られます。また、合格したセンターの掲示板には合格者が一覧として掲示される(1週間)ので、ここから確認することも可能です。また、安全衛生技術試験協会のホームページでも合格者の受験番号が掲示されます。

まとめ

いかがでしたか? 今回は衛生管理者にまつわる基礎的な知識をご紹介しました。衛生管理者の資格は自身の職場環境の改善にかかわるものです。資格を有する意義は大きく、とても取得しがいのある資格といえるでしょう。ぜひ、今回の記事を参考に衛生管理者の取得について考えてみてくださいね。


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